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ロジレスで不良品マスタを正しく設計する方法 — ロケーション管理とロット番号管理のベストプラクティス

公開日:2026.06.26

更新日時:2026.06.26

ロジレスで不良品マスタを正しく設計する方法 — ロケーション管理とロット番号管理のベストプラクティス

フロントラインの成田です。不良品(B品)が発生したとき、「不良品用の商品マスタを新しく作ればいい」と考えるマーチャントは少なくありません。ロジレスの商品マスタは手軽に作成できるため、一見合理的に思えるこの判断が、実はバーコードの重複管理や出荷指示の混乱という深刻なオペレーション事故を招きます。不良品は商品マスタを増やさず、ロケーションとロット番号で管理するのが正解です。今回は、数多くのECサイト立ち上げやWMS連携を支援してきた私の知見をもとに、ロジレスにおける不良品マスタの正しい設計方法を解説します。

ゼネラルマネージャー / 成田 遼太郎
ゼネラルマネージャー / 成田 遼太郎

月間数億円規模のECをShopifyで構築し、物流を最適化してきた実績があります。ECサイトの立ち上げから、複雑な物流課題の解決までトータルでサポート。貴社のEC事業がさらに成長するよう、効果的なECサイト構築と効率的な物流体制の両面から貢献します。

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この記事はこんなEC事業者様におすすめです

不良品の管理は、EC事業の規模が小さいうちは「とりあえず」の運用でも回りますが、SKU数や取扱量が増えるにつれて、マスタ設計の不備がオペレーション全体に波及していきます。正しい設計を最初から理解しておくことで、将来的な手戻りやオペレーション事故を未然に防ぐことができます。

  • 不良品が発生するたびに、不良品用の商品マスタを新規作成してしまっている方
  • 倉庫への出荷指示で「良品」と「不良品」の取り違えが発生したことがある方
  • 不良品マスタの設計を見直して、倉庫とのコミュニケーションコストを削減したい方

導入効果 — 正しいマスタ設計がもたらす3つのメリット

不良品を商品マスタで分離せず、ロケーションとロット番号で管理する設計に切り替えると、以下の3つのメリットが得られます。

商品マスタの見通しが良い状態を維持できる

不良品を別マスタとして登録しないため、商品マスタに不要なレコードが増殖することがありません。マスタの肥大化は在庫数の不一致や受注時の引当エラーといったオペレーション事故に直結するため、マスタの見通しを良く保つことは安定運用の基盤です。

引当不可ステータスで販売在庫への誤計上を防止できる

不良品を専用ロケーションに移動させると、倉庫側から「引当不可」ステータスに変更することができます。これにより、不良品が販売可能な在庫として計上され、誤って顧客に出荷されるリスクをゼロにできます。引当不可ステータスの具体的な設定方法については、別記事で詳しく解説予定です。

ロット番号による精密な出荷指示が可能になる

ロット番号管理を併用すると、「商品Aの不良品ロットを送ってください」という指定した出荷指示が可能になります。サプライヤーへの良品交換依頼や、不良品の現物確認のための返送指示を、倉庫担当者とのやり取りなしに自動化できます。

なぜ不良品を別マスタで作ってはいけないのか

商品Aに対して良品マスタと不良品マスタを別々に作成した場合、商品コードが2つに分裂し、出荷指示での取り違えや倉庫との認識齟齬が発生する流れを示した図

不良品に対して新しい商品マスタを作成すると、同一の商品に対して2つの異なる商品コード(商品ID)が発生し、倉庫オペレーションに深刻な混乱を引き起こします。ここでは、マスタ分離がもたらす3つの具体的な問題を解説します。

商品コードの重複管理が発生する

ロジレスの商品マスタは、1レコードにつき1つのユニークな商品コードが紐付きます。商品Aに対して不良品用マスタ(A-B品)を別途作成すると、倉庫には同じ商品なのに2つの異なる商品コードが存在する状態になります。倉庫スタッフは入荷・出荷のたびにどちらの商品コードでスキャンすべきか判断を迫られ、オペレーションの速度と精度が低下します。

出荷指示で取り違えが発生する

マーチャント側から「商品Aの不良品を送ってください」と出荷指示をする場合を考えてみてください。マスタが2つ存在すると、ロジレス上の出荷指示では「商品A」と「商品A-B品」のどちらを指定すべきか、倉庫側で判断できなくなります。最悪の場合、不良品の確認依頼なのに良品が出荷されてしまい、良品在庫が不必要に減少するという事態を招きかねません。

商品名の齟齬によるコミュニケーション事故が起きる

良品マスタも不良品マスタも、商品名は本質的に同じです。「ブランドX Tシャツ 黒 Lサイズ」という商品名が2つのマスタに存在することで、チャットやメールでのやり取りで「どちらのマスタの話をしているのか」が曖昧になります。こうしたコミュニケーションの齟齬は、積み重なるほど深刻なオペレーションリスクに発展します。

管理方法① — ロケーション管理で不良品を物理的に分離する

ロケーション管理は、不良品を倉庫内の専用ロケーション(棚番)に物理的に移動させることで、良品と分離する方法です。商品マスタには一切手を加えず、倉庫側のロケーション操作だけで完結するため、最も手軽に導入できる管理手法です。

導入が簡単で多くの3PLが対応可能

商品マスタの変更が一切不要で、倉庫側のロケーション移動だけで運用を開始できます。ロケーション管理はWMSの基本機能であるため、特殊な設定やオペレーション変更も不要であり、ほとんどの3PLで対応可能です。

引当不可ステータスで販売在庫への誤計上を防止できる

不良品ロケーションに移動した在庫を、倉庫側から「引当不可」ステータスに変更することができます。これにより、不良品が販売可能な在庫として計上され、誤って顧客に出荷されるリスクをゼロにできます。引当不可ステータスの具体的な設定方法については、別記事で詳しく解説予定です。

マーチャント側からリアルタイムに在庫確認が可能

保管状況画面の集計グループを「ロケーション」に切り替え、不良品ロケーションコードで検索すれば、リアルタイムに不良品在庫を確認できます。詳しくは関連記事「ロジレスで不良品(B品)在庫をリアルタイムに確認する方法」を参照してください。

出荷指示で不良品を直接指定できない点に注意

ロジレスの仕様上、出荷指示は商品コード単位で行うため、「商品Aの不良品だけを出荷する」という自動振り分けができません。不良品に対してアクション(確認のための返送、サプライヤーへの返品など)を行う場合は、必ず倉庫担当者とのコミュニケーションが必要になります。これがロケーション管理単体での最大の弱点です。

管理方法② — ロット番号管理で不良品にラベルを付ける

ロット番号管理は、同一商品マスタの中でロット番号を使って良品と不良品を区分する方法です。商品Aに対して「B」などのロット番号を付与することで、良品と不良品を論理的に分離できます。

出荷指示で不良品ロットを直接指定できる

「商品Aのロット番号Bを出荷してください」という明確な指示が可能になります。倉庫担当者とのコミュニケーションなしに不良品の出荷指示を完結できるため、サプライヤーへの良品交換依頼や不良品の現物確認のための返送指示がスムーズに行えます。ロット番号の概念に馴染みのないEC事業者様にとってはイメージしづらいかもしれませんが、同じ商品Aの中でも「良品のA」と「不良品のA」をラベルで区分できる仕組みだと考えてください。

倉庫側のオペレーションが煩雑になる

不良品が発生した際、倉庫スタッフはロジレスの画面上でその商品にロット番号を付与する処理を行わなければなりません。この作業は一見簡単に思えますが、現場では入荷・出荷・棚卸しなど日常業務と並行して処理する必要があるため、オペレーション負荷が確実に増加します。

ロット番号管理に対応できる3PLが少ない

多くの3PLにとってロット番号管理は馴染みの薄い運用です。食品や化粧品など賞味期限管理が必須の業界では一般的ですが、アパレルや雑貨の倉庫ではロット番号管理の実績がない場合が多く、対応可能な倉庫が限られるのが現実です。

マーチャント側の出荷指示にも一手間が増える

不良品を出荷する際、マーチャント側もロット番号を正確に入力して指示を出す必要があります。通常の出荷指示であれば商品コードを指定するだけで済みますが、ロット番号管理を導入するとロット番号の入力が追加されるため、オペレーションの手順がわずかに複雑になります。

ベストプラクティス — ロケーション管理とロット番号管理の併用

商品Aのマスタを1つに保ったまま、良品ロケーションと不良品ロケーション(ロット番号B)で区分管理する推奨構成を示した図

フロントラインが推奨するベストプラクティスは、ロケーション管理とロット番号管理の併用です。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせることで、それぞれの弱点を補完し、最も正確で柔軟な不良品管理体制を構築できます。

なぜ併用が最適なのか

ロケーション管理だけでは出荷指示で不良品を直接指定できず、ロット番号管理だけでは倉庫オペレーションの負荷が大きくなります。両方を併用することで、以下の体制が実現します。

  • 物理的な分離(ロケーション) — 不良品が良品と混在するリスクをゼロにし、引当不可ステータスで販売在庫への誤計上を防止する
  • 論理的な区分(ロット番号) — 出荷指示でロット番号を指定することで、不良品に対するアクション(返送・交換・廃棄など)を倉庫担当者とのコミュニケーションなしに実行できる

管理方法の比較表

| 評価項目 | マスタ分離(NG) | ロケーション管理のみ | ロット番号管理のみ | 併用(推奨) | |---|---|---|---|---| | マスタの見通し | NG — 肥大化 | 良好 | 良好 | 良好 | | 倉庫導入の容易さ | 容易 | 容易 | 難しい | やや難しい | | 出荷指示の精度 | 混乱リスク大 | 要コミュニケーション | 直接指定可能 | 直接指定可能 | | 販売在庫の誤計上防止 | 不可 | 引当不可で防止可 | 不可 | 引当不可で防止可 | | 3PLの対応力 | 対応可 | 対応可 | 限定的 | 限定的 |

導入にあたっての注意点

ロケーション管理とロット番号管理のいずれも、設定や運用は倉庫側のオペレーションに依存します。すべての3PLがロット番号管理に対応しているわけではないため、委託先倉庫に事前確認が必要です。弊社フロントラインの倉庫では、ロケーション管理とロット番号管理の両方に対応しています。

ロット番号で不良品在庫を確認する手順(5ステップ)

ロケーション管理での不良品確認方法は、関連記事「ロジレスで不良品(B品)在庫をリアルタイムに確認する方法」で解説しています。ここでは、ロット番号管理を併用している場合の確認手順を解説します。ロジレスの管理画面にログインしたら、以下の手順で不良品在庫を確認します。

ステップ 1 — 在庫メニューを開く

ロジレス不良品マスタ設計 ステップ 1 — 在庫メニューを開く

ダッシュボード画面の左側メニューから「在庫」をクリックします。在庫メニュー配下に保管状況・日次在庫表・売上返品・在庫操作ログなど複数のサブメニューが表示されます。

ステップ 2 — 保管状況を開く

ロジレス不良品マスタ設計 ステップ 2 — 保管状況を開く

在庫メニューのサブメニューから「保管状況」をクリックします。初期状態では集計グループが「商品マスタ」になっていますが、ロット番号で検索するには集計グループを変更する必要があります。

ステップ 3 — 集計グループをロット番号に変更する

ロジレス不良品マスタ設計 ステップ 3 — 集計グループをロット番号に変更する

画面左上の「集計グループ」のプルダウンを「ロット番号」に変更します。この切り替えにより、検索条件にロケーションコード・ロケーション名・出荷期限日・引当不可となる日に加えて、「ロット番号」の入力フィールドが新たに表示されます。

ステップ 4 — 検索結果でロット番号付き商品一覧を確認する

ロジレス不良品マスタ設計 ステップ 4 — ロット番号付き商品一覧を確認する

そのまま「検索」ボタンをクリックすると、ロット番号が付与されている商品の一覧が表示されます。商品名・倉庫名・ロケーション・ロット番号・各ステータス別の数量が確認できます。この画面では、テスト商品がフロントライン【戸田第一FC】のB品ロケーションに、ロット番号「B」で2個保管されていることがわかります。なお、ロケーション管理とロット番号管理を併用している場合、在庫数は「保留」ステータスに表示されますが、意味としては「保管中」と同じで、その商品が不良品として倉庫に存在していることを示しています。

ステップ 5 — ロット番号を指定して不良品だけを絞り込む

ロジレス不良品マスタ設計 ステップ 5 — ロット番号を指定して不良品だけを絞り込む

特定のロット番号に絞り込みたい場合は、検索条件の「ロット番号」入力欄に不良品用のロット番号(この例では「B」)を入力して検索します。SKU数が多い場合でも、ロット番号で絞り込むことで不良品だけを即座にリストアップできます。前回記事で解説した「検索条件の保存」機能と組み合わせれば、ワンクリックで不良品在庫を呼び出す体制も構築可能です。

まとめ — 商品マスタを増やさない不良品管理が、ショップの成長を加速させる

不良品マスタの正しい設計は、商品マスタを増やさず、ロケーション管理とロット番号管理を併用して良品と不良品を分離することです。ロケーションで物理的に分離し引当不可ステータスで販売在庫の誤計上を防ぎ、ロット番号で論理的に区分して出荷指示の精度を高める。この二層の管理体制が、フロントラインの考えるベストプラクティスです。

しかし、私たちがご提案したい本当の価値は、単なるマスタ設計の最適化ではありません。正しいマスタ設計を土台にすることで、不良品の確認・返送・交換・廃棄といった一連のアクションが迅速かつ正確になり、倉庫とのコミュニケーションコストが大幅に削減されます。その削減された時間とリソースを、商品開発やマーケティング、顧客対応の質向上といったショップを成長させるための攻めのアクションに100%投資できるようになる未来を、私たちはご提案します。

ロジレスの不良品マスタ設計やロケーション・ロット番号の運用設計でお悩みの方、あるいは不良品の発見から返送・交換・廃棄判断までのフローを一気通貫で設計したいマーチャント様は、ぜひフロントラインまでお気軽にご相談ください。ECシステムと物流現場のプロフェッショナルが、最適な在庫管理体制の構築をサポートいたします。

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