ECにおける返品・交換申請の営業時間外集中と、売上維持・現場効率化を両立するリバースロジスティクス設計
公開日:2026.07.25
更新日時:2026.07.25

株式会社フロントラインの成田です。ECにおける返品や交換申請の約6割が営業時間外に発生しているというRecustomerの調査結果を基に、返品・交換を単なる後ろ向きな処理ではなく、売上機会の維持と出荷現場の負担軽減につなげるためのWMS(倉庫管理システム)活用と3PL連携のポイントを解説します。

月間数億円規模のECをShopifyで構築し、物流を最適化してきた実績があります。ECサイトの立ち上げから、複雑な物流課題の解決までトータルでサポート。貴社のEC事業がさらに成長するよう、効果的なECサイト構築と効率的な物流体制の両面から貢献します。
ECの返品・交換申請の約6割が営業時間外に発生、返品配送にかかる時間が返金完了の最大のボトルネックに(Recustomer調査)
Recustomer株式会社が発表した「Returns, Exchanges & Delivery Report 2026 上半期」によると、ECにおける返品・交換申請の61.1%が、平日の9時から18時という一般的なカスタマーサポートの営業時間外に発生していることが明らかになりました。時間帯別では、平日の11〜12時と19〜21時に申請が集中する「二山型」の傾向を示しており、顧客が返品手続きを行いたいタイミングと事業者の対応時間帯にギャップが存在しています。また、返品申請の承認自体は78.7%が1時間以内に完了しているものの、返金完了までの中央値は7.4日を要しており、そのうち返品商品の配送待ち(配送工程)が中央値5.5日と、プロセスの大部分を占めていることが判明しました。さらに、返品を返金ではなく「交換」に転換できたアパレルECの中央値は25.5%と約4分の1に上り、返品交換ポリシーの寛容さが顧客の年間購入回数(LTV)向上に寄与していることも示されています。
出典元:EC「返品」「交換」申請、約6割が営業時間外に発生 Recustomer調査(ECのミカタ)2026年7月24日投稿
営業時間外の返品受付とWMSのリアルタイム連携による交換用在庫の早期確保
今回の調査結果は、EC事業者における返品・交換対応が、単なるカスタマーサポートの領域に留まらず、在庫の回転率や出荷オペレーションの安定性に直結するロジスティクス課題であることを示しています。特に、申請の約6割がサポート営業時間外に発生している点や、返品配送に中央値で5.5日を要しているという実態は、顧客体験(CX)の低下だけでなく、販売可能な在庫が長期にわたり滞留する「静脈物流の目詰まり」を引き起こす要因となります。
このボトルネックを解消し、約25%のアパレルECで実現されている交換需要を逃さず売上に繋げるには、ECフロントシステムとバックエンドの倉庫管理システム(WMS)のリアルタイムなデータ連携が極めて重要です。返品申請がオンラインで受け付けられたタイミングで、WMS側へ返品予定データを瞬時に同期し、交換用在庫を自動で確保(引き当て)する仕組みを構築することで、欠品による機会損失を防ぐことができます。
私たち株式会社フロントラインは、労働環境が激変する「2024年問題」等の状況下において、WMSの導入・活用を通じた現場の生産性向上と、荷主企業の出荷オペレーションの安定化を支援しています。単にシステムを導入するだけでなく、3PL・倉庫会社との最適な連携体制を構築し、現場が迷わない業務設計を行うことに強みがあります。物流、EC、AIの専門知見を統合し、リバースロジスティクスのフロー効率化と実務改善に向けて、現場目線で伴走支援を重ねてまいります。
2026年7月25日のポイント
ECにおける「返品・交換」は、顧客の購買体験(CX)の向上だけでなく、バックヤードの出荷現場における業務負荷と在庫効率を左右する極めて重要なロジスティクスプロセスです。特に営業時間外の申請が多く、配送に日数を要する実態があるからこそ、以下の実務ポイントを踏まえた設計が不可欠です。
- 自動受付と在庫引当のシステム連携:返品・交換申請が発生した時点で、WMSを通じて交換用在庫を早期に自動確保し、販売機会損失を防ぐ。
- リバースロジスティクスの標準化:倉庫に到着した返品商品の検品・再シュリンク・在庫戻しの一連のフローを標準化し、現場の生産性を高める。
- 3PLと荷主間のリアルタイムデータ同期:返品および交換の処理ステータスを荷主と倉庫がリアルタイムで共有し、問い合わせ対応や作業準備の先手管理を行う。
顧客向けにポリシーを緩和するだけでなく、それを物理的に支える出荷現場や3PLとの連携体制を強固に構築することで、返品という接点を次の売上とファン獲得の機会へと変えていくことができます。

