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物流

取引適正化と物流コスト上昇が荷主・運送会社の関係を変え始めている

公開日:2026.06.27

更新日時:2026.06.27

取引適正化と物流コスト上昇が荷主・運送会社の関係を変え始めている

株式会社フロントラインの成田です。2026年6月27日の物流ニュースは、取引適正化と物流コスト上昇が荷主・運送会社の関係に構造的な変化を迫る動きが集中しました。公取委の金型無償保管に対する勧告は、物流の保管コストを誰が負担するかという根本的な問題を改めて突きつけています。同時に、トラック運送会社が採算割れの荷主を断り始める「荷主の選別」が進行する一方、改正物流効率化法の認知度は企業の7割が「内容を知らない」という調査結果も出ました。法令・規制の変化に荷主がどう対応するかが、委託先との関係維持を左右する局面に入っています。

ゼネラルマネージャー / 成田 遼太郎
ゼネラルマネージャー / 成田 遼太郎

月間数億円規模のECをShopifyで構築し、物流を最適化してきた実績があります。ECサイトの立ち上げから、複雑な物流課題の解決までトータルでサポート。貴社のEC事業がさらに成長するよう、効果的なECサイト構築と効率的な物流体制の両面から貢献します。

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2026年6月27日の物流ニュースでは、取引適正化の行政動向、トラック運賃の値上げ交渉、改正物流効率化法の認知度問題、東南アジアの越境鉄道輸送、商用EVの普及状況という5つの動きを取り上げます。各ニュースの概要と、実務上確認しておきたいポイントを整理します。

取引適正化と運賃交渉の現場

公取委が金型の無償保管でダイヘンに勧告

公正取引委員会は、変圧器・溶接機メーカーのダイヘンに対して、取引先に金型を無償で保管させていた行為について、独占禁止法に基づく勧告を行った。

金型の保管は倉庫スペースと管理コストを伴うにもかかわらず、発注元が費用負担なく取引先に保管を続けさせていたことが問題とされた。公取委は優越的地位の濫用に該当する行為として是正を求めている。

出典: [公取委、金型無償保管でダイヘンに勧告](http://www.logi-today.com/970117) — www.logi-today.com

保管コストの押し付けは物流現場にも波及する

金型の無償保管問題は製造業の取引慣行として語られがちだが、物流倉庫の現場でも本質は同じである。荷主企業が倉庫事業者に長期保管品の管理や、返品商品の一時保管を無償で求めるケースは珍しくない。

公取委の動きが活発化するほど、保管費用の適正化は倉庫事業者にとって契約見直しの後押しになる。倉庫を委託している荷主企業の側も、保管条件と費用負担の根拠を改めて文書化しておく必要がある。曖昧なまま放置すれば、突然の是正要求で保管体制の再構築を迫られるリスクがある。

「荷主の選別」が進むトラック輸送、本来なら30%の値上げが必要

冷凍車を約25台保有する運送会社が、売り上げに対して10%の運賃値上げを荷主企業に文書で求めたところ、大半の荷主は理解を示した。しかし一部の荷主からは「10%の根拠を示してほしい。適正でなければ値上げは難しい」との回答があった。

同社の社長は「軽油価格がリッター約20円値上がりし、4トン冷凍車は1500万円する。本来なら30%の値上げが必要」と話す。別の運送会社は「採算の合わない荷主はこちらからお断りしていく」方針を明言しており、運賃値上げに応じない荷主との取引を打ち切る「荷主の選別」が進んでいる。

出典: 物流ウィークリー(2026年6月26日)[「荷主の選別」進むトラック輸送 「本来なら30%の値上げ」](https://weekly-net.co.jp/news/196474/) — weekly-net.co.jp

値上げ交渉で問われる荷主の準備と透明性

運送会社が荷主を選別する動きは、ドライバー不足と燃料高騰が同時に進行する環境では合理的な判断といえる。ただし記事が示すように、荷主側も「根拠を示してほしい」と求めるのは当然の対応であり、一方的に非難される話ではない。

倉庫現場を預かる立場から見ると、輸送コストの上昇は出荷頻度や配送ルートの再設計に直結する。値上げを吸収できない荷主は出荷ロットの集約や納品リードタイムの柔軟化に踏み切らざるを得ず、倉庫側でも出荷波動の変化に備えた人員配置の見直しが必要になる。運賃交渉は輸送だけの問題ではなく、倉庫オペレーションの設計にも影響するため、荷主・運送会社・倉庫事業者の三者で物流コストの全体像を共有できる体制が求められる。

物流法規制と企業の認知ギャップ

企業の7割が「内容知らない」改正物流効率化法

帝国データバンクが全国2万3083社を対象に実施した調査によると、2026年4月に全面施行された「改正物流効率化法」について、「制度の内容を含めてよく知っている」企業はわずか2.8%、「ある程度知っている」を合わせても「内容を知っている」企業は2割に満たなかった。

一方、「名前は聞いたことがあるが内容は知らない」が33.7%、「名前も聞いたことがない」が35.9%に達し、企業の約7割が制度の内容を把握していない実態が明らかになった。業界別では「運輸・倉庫」が61.8%と突出して認知が高い一方、物流との接点が多い「小売」は9.2%にとどまり、着荷主側の認知が進んでいない。

重要と考える対策では「関係事業者間での連携の強化」が39.3%でトップとなり、物流課題は自社単独では解決しにくいとの認識が広がっている。

出典: 物流ウィークリー(2026年6月26日)[企業の7割が「内容知らない」改正物流効率化法「名前も聞いたことがない」35.9%](https://weekly-net.co.jp/news/197711/) — weekly-net.co.jp

荷主の認知不足が取引関係の見直しを加速させる

改正物流効率化法は、荷主企業にも物流の効率化に向けた努力義務を課す内容を含んでいる。しかし、荷主側の認知が2割を切っている現状では、法の趣旨が現場に届いていない。記事のコメント欄でも「荷主はこんなの運送会社側の問題で関係ないと思っている」という声が上がっており、認識のギャップは根深い。

運送会社や倉庫事業者にとっては、荷主との交渉の場で法改正の内容を説明し、協力を引き出す材料として使える一方、荷主側がこの法律を「知らない」ままでは対話自体が成立しにくい。委託先の物流事業者と対等な関係を築くためには、荷主側こそが法改正の内容を正確に理解し、自社の物流運用を見直す起点にする必要がある。

越境輸送と脱炭素化の取り組み

JR貨物がタイ~ラオス間で初の越境貨物鉄道輸送を試験実施

JR貨物は2026年6月15~22日、タイ王国~ラオス人民民主共和国間で、同社として初めてとなる国境をまたぐ貨物鉄道輸送の試験輸送を実施した。

輸送区間はチョンブリ駅(タイ)~タナレーンドライポート駅(ラオス)の約650kmで、40フィートコンテナ3本を輸送した。タイ国鉄・ラオス国鉄が運行する貨物列車を活用し、越境貨物鉄道輸送の実務、通関業務、輸送品質の維持、リードタイムなどのオペレーションを検証した。現地日系フォワーダーとしてSANKYU-THAI、SIAM NISTRANS、NIPPON EXPRESS LOGISTICS(THAILAND)も協力している。

JR貨物は2021年9月にバンコク駐在員事務所を開設して以来、タイを起点とした海外事業の実現に向け、現地関係者との連携強化や事業化の可能性検証に取り組んでいる。今後は貨物駅や倉庫などを結節点とした総合物流サービスの可能性についても検証を進める方針。

出典: LNEWS(2026年6月26日)[JR貨物/タイ~ラオス間で国境またぐ貨物鉄道の試験輸送を実施](https://www.lnews.jp/2026/06/s0626604.html) — www.lnews.jp

東南アジアの鉄道輸送は日本企業のSC設計に選択肢を増やす

タイ~ラオス間の越境鉄道輸送は、東南アジアのサプライチェーンにおけるモーダルシフトの選択肢を広げる動きとして注目に値する。トラック輸送と比較して鉄道はCO2排出量が少なく、大量輸送に適している点で、環境負荷とコストの両面から荷主企業の関心を集めやすい。

倉庫運用の視点では、鉄道輸送はトラックと比べてリードタイムが長くなりがちなため、在庫計画のバッファ設計が変わる。ただし、安定的に大量ロットを動かす定期便として機能すれば、タイの生産拠点からラオス経由で中国・ベトナムへの接続も視野に入る。日本国内の倉庫にも東南アジアからの入荷リードタイム設計への影響が波及する可能性があるため、東南アジアに調達先を持つ荷主企業は、鉄道ルートの商用化時期を継続的にウォッチしておく価値がある。

フォロフライの商用EVバン「F11シリーズ」が初期ロット100台完売

商用EV開発のフォロフライ(京都市)が2026年1月に販売を開始した商用EVバン「F11シリーズ」の累計納車台数が100台に達し、初期ロットが完売した。同車両は集配業務や都市内配送を想定した小型商用EVで、従来のディーゼル車と比較して燃料コストの大幅削減が見込まれる。

国内の商用EV市場はまだ立ち上がりの段階にあるが、100台の初期ロットが半年で完売した事実は、ラストワンマイル配送を中心とした実需が存在することを示している。

出典: トラックニュース(2026年6月26日)[フォロフライ/1月発売の商用EVバン「F11シリーズ」、初期ロット100台完売し納車も完了](https://www.trucknews.biz/article/s062602/) — www.trucknews.biz

商用EVの「100台完売」が示すラストワンマイル配送の変化

商用EVの導入は、環境対応だけでなく、燃料コストの構造変化として捉える必要がある。軽油価格の上昇が続く中、EVへの切り替えは配送コストの固定化に寄与し、長期的には運賃設計にも影響を与える。

倉庫事業者の視点では、EVバンの普及に伴い、充電インフラの整備が物流拠点の設備要件に加わる可能性がある。集配車両がEV化されれば、倉庫側にも充電設備の設置や電力契約の見直しが求められる。現時点で100台規模ではあるが、都市内配送を中心にEV化が進む流れは不可逆的であり、施設設計に充電設備を組み込む準備を始めておくことが実務上の備えになる。

2026年6月27日のまとめ

保管・輸送の取引条件を文書化する

公取委の勧告とトラック運賃値上げの動きは、曖昧な取引条件がリスクになることを示している。保管費用、運賃の算定根拠、値上げ条件のトリガーを契約書に明記しておくことが、荷主・物流事業者双方にとって急務となっている。

改正物流効率化法の内容を荷主側から把握する

企業の7割が内容を知らないという調査結果は、法改正が現場に届いていない現状を示している。荷主企業は法の趣旨を正確に理解し、委託先との協力体制を整えるための起点にする必要がある。

東南アジア調達と配送のインフラ変化に備える

JR貨物のタイ~ラオス越境鉄道は域内モーダルシフトの商用化に近づいており、フォロフライのEVバン100台完売は都市内配送のEV化が実需段階に入ったことを示している。調達・配送の両面で、新しいインフラの動向を在庫計画や施設設計に反映させるタイミングに来ている。

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