物流DXファンド・庫内可視化・通関値上げが迫る物流現場の見直し
公開日:2026.06.23
更新日時:2026.06.23

株式会社フロントラインの成田です。2026年6月23日の物流ニュースは、物流DX領域へのファンド出資、外部施設を活用した拠点戦略、庫内作業の原価可視化、通関料金の値上げなど、現場運用とコスト構造の両面に変化を迫る動きが並びました。どのニュースも個別の発表で終わらせず、自社の業務にどう影響するかを確認する材料として読んでいただければと思います。

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2026年6月23日の物流ニュースでは、物流DX領域へのファンド出資、外部施設を活用した拠点戦略、庫内作業の原価可視化、通関料金の改定など、5件の動きを取り上げます。
物流DXと拠点戦略の動き
栗林商船/ON&BOARD1号ファンド出資、物流DX・自動運転領域と連携強化
栗林商船は6月23日、ON&BOARDが運営する「ON&BOARD 投資事業有限責任組合(ON&BOARD1号ファンド)」との間で、5月8日に出資契約を締結したと発表した。将来的な事業連携や新規事業創出を視野に、自動運転…
出典: LNEWS(2026年6月23日)栗林商船/ON&BOARD1号ファンド出資、物流DX・自動運転領域と連携強化
内航海運と陸上輸送をつなぐ投資の意味
栗林商船のようなフェリー・内航海運事業者が、陸上側の自動運転やDX領域に投資を始めたこと自体が注目に値します。海運と陸運の結節点が変わると、港湾から倉庫への横持ち輸送の設計や、フェリー接続を前提にした幹線ルートの組み方にも影響が出ます。
すぐに日常の業務を変える話ではありませんが、マルチモーダル輸送の選択肢が増える方向に資金が動いている事実は押さえておく価値があります。入荷タイミングの変動に備えた倉庫側の受け入れ体制を、中長期で見直すきっかけになるかもしれません。
鴻池運輸/外部施設を活用し神奈川県西部の保管・配送基盤強化へ
鴻池運輸は、神奈川県西部エリアにおいて外部の物流施設を活用し、保管・配送基盤を強化する方針を明らかにした。自社拠点だけでは対応が難しい需要増や商圏拡大に対し、外部施設との連携によって柔軟な物流体制を構築する狙いがある。
出典: LNEWS(2026年6月22日)鴻池運輸/外部施設を活用し神奈川県西部の保管・配送基盤強化へ
外部施設活用は拠点戦略の柔軟性を示す
自社倉庫だけで増加する需要に対応し続けるのは、立地や面積の制約から限界があります。鴻池運輸が外部施設を活用するアプローチは、固定資産を増やさずに配送網を拡張する手法として、他の物流事業者にとっても参考になります。
実務上のポイントは、外部施設との間で品質基準をどう統一するかです。入出荷の作業手順、在庫管理の粒度、検品の精度が拠点ごとにばらつくと、荷主への品質保証が難しくなります。外部施設を使うほど、標準化されたオペレーションマニュアルと、拠点間の在庫可視化の仕組みが求められます。
物流現場の運用とコスト構造の見直し
CLO特集/サンゲツ 「利は元にあり」をロジスティクス領域でも踏襲
壁装材や床材、カーテンなどのファブリックを中心に取り扱うインテリア企業、サンゲツ(本社:愛知県名古屋市)は、「デリバリーも品質のうち」という創業当時からの経営方針により、ロジスティクス部門を重要な部署として位置付けてきた…
出典: LNEWS(2026年6月22日)CLO特集/サンゲツ 「利は元にあり」をロジスティクス領域でも踏襲
物流部門を経営直轄に置く荷主が増えている
サンゲツのように物流を経営の重要機能として位置付ける荷主企業が増えています。物流を外注コストとしてだけ見る企業と、品質の一部として内製管理する企業では、委託先に求める内容がまったく異なります。
「デリバリーも品質のうち」という方針を持つ荷主と取引する場合、出荷精度、配送リードタイム、梱包品質が定量的に評価される傾向が強まります。単にコストを下げる提案では選ばれにくくなり、オペレーションの透明性やデータ提供力が差別化の要素になっていきます。
三井倉庫株式会社が7月1日から通関料金を25%値上げ、コスト見直しが不可欠に
三井倉庫株式会社は2024年7月1日受託分より、通関業務の各種料金を平均約25%値上げします。背景には人手不足や、セキュリティ・コンプライアンス強化に伴うシステム投資負担の増大があります。この改定は業界全体に波及する可能性があり、荷主企業や3PL事業者はサプライチェーンにおけるコスト構造の再評価が必須対応となります。
出典: ロジシフト(2026年6月22日)三井倉庫株式会社が7月1日から通関料金を25%値上げ、コスト見直しが不可欠に
通関コスト上昇は見積り全体の再設計を迫る
三井倉庫の通関料金値上げは、同社だけの話にとどまらず、業界全体の料金水準を押し上げる先行事例になりえます。人手不足とコンプライアンス強化という背景は他の通関業者にも共通しており、追随する動きが出てくる可能性があります。
輸入貨物を扱う荷主への見積りでは、通関料金はコスト全体の中で比率が小さく見えることもありますが、SKU数が多いケースや少量多頻度で通関が発生する場合、積み上がると無視できない金額になります。値上げの事実だけでなく、サプライチェーン全体のコスト構造を可視化して荷主に示せるかが問われます。
ロジザード/作業原価・生産性を可視化「ロジザードZERO庫内分析」提供開始
ロジザードは6月23日、クラウドWMS「ロジザードZERO」の新機能として「庫内分析」の提供を開始した。入荷、出荷、棚卸しなどの作業ごとに原価と生産性を自動で算出・可視化し、倉庫運営の改善ポイントを定量的に把握できるようにする。
出典: LNEWS(2026年6月23日)ロジザード/作業原価・生産性を可視化「ロジザードZERO庫内分析」提供開始
庫内の「どこにコストがかかっているか」を数字で示す
倉庫現場では、入荷・出荷・棚卸しの各工程にどれだけ時間と人件費がかかっているかを正確に把握できていないケースが少なくありません。ロジザードの庫内分析は、WMSに蓄積されたデータから作業原価を自動算出する点が実務的です。
荷主への報告や料金交渉において、「この工程にこれだけコストがかかっている」と数字で示せることは、価格の妥当性を説明する材料になります。感覚ではなくデータに基づいた改善提案ができるかどうかが、倉庫運営の質を左右する時代に入っています。
2026年6月23日のまとめ
本日のニュースは、物流DXと拠点戦略、コスト構造の変化、庫内可視化という3つの軸で、物流現場の前提が動き始めていることを示しています。
物流DXと拠点戦略の変化を自社の計画に織り込む
ファンド出資や外部施設活用の動きは、物流の選択肢が広がる方向に資金が動いていることを示しています。自社の拠点戦略や連携先の見直しに活かせる情報です。
通関・輸送コストの変動を見積りに織り込む
三井倉庫の通関料金値上げは業界全体への波及が見込まれます。輸入貨物を扱う荷主との取引では、通関コストの変動を含めた見積り設計の見直しが求められます。
庫内コストの可視化で改善提案の質を上げる
作業原価と生産性のデータを使って、どの工程に改善余地があるかを荷主に示せる体制が、倉庫運営の差別化につながります。

