食トレンドとSNSマーケティング新潮流 — EC事業者が備えるべき6つの最新動向
公開日:2026.06.21
更新日時:2026.06.21

株式会社フロントラインの成田です。2026年6月第3週は、デリッシュキッチンが発表した食トレンドランキングや、ニトリが始動したインフルエンサーアンバサダー施策、アパレルEC人材の給与データ公開など、EC事業者として見逃せないニュースが相次ぎました。本記事では、調達・トレンド・マーケティング・人材・接客という多角的な視点から6つのトピックを取り上げ、3PL事業者ならではの現場目線で解説します。

月間数億円規模のECをShopifyで構築し、物流を最適化してきた実績があります。ECサイトの立ち上げから、複雑な物流課題の解決までトータルでサポート。貴社のEC事業がさらに成長するよう、効果的なECサイト構築と効率的な物流体制の両面から貢献します。
EC事業を取り巻く環境は、消費トレンドの変化からSNSマーケティングの進化、さらにはAIを活用した新しい購買体験の登場まで、急速に動いています。物流・発送代行を手がける当社の視点からも、これらの変化は受注処理や倉庫オペレーションに直結するものばかりです。2026年6月第3週に注目すべき6つのEC業界ニュースを、実務に役立つ形でお届けします。
調達リスクと食品ECの最新トレンド
中東情勢の影響で85%が消耗品調達に不安 — カウネットが職場の調達意識調査を実施
コクヨグループのカウネットが、「べんりねっと」およびオフィス用品通販サイト「カウネット」の会員2,459名を対象に実施した調査で、85%もの職場担当者が中東情勢の影響による消耗品調達への不安を抱えていることが明らかになりました。紙・梱包資材・洗剤など、EC事業の出荷作業に欠かせない消耗品のサプライチェーンが地政学リスクの影響を受けている実態が浮き彫りになっています。
出典: コマースピック(2026年6月19日)
調達コスト高騰への実務的な備え
当社の倉庫でも、2026年に入ってから梱包資材の仕入れ価格が上昇傾向にあります。EC事業者にとって重要なのは、消耗品コストの上昇を「出荷コスト全体」の中でどう吸収するかという視点です。たとえば、段ボールサイズの最適化や緩衝材の見直しといった地道な取り組みが、年間で見ると大きなコスト削減につながります。3PLパートナーと連携して資材の共同購入や代替資材の検証を行うことで、個社では対応しきれないスケールメリットを活かすことも有効な一手です。
デリッシュキッチンが2026年上半期の食トレンドランキングと下半期予測を発表
株式会社エブリーが運営する日本最大級のレシピ動画メディア「デリッシュキッチン」が、ユーザーのレシピ検索動向や公式SNSにおけるヒットコンテンツの傾向を詳細に分析し、2026年上半期の「食トレンドランキング」TOP5と下半期の食トレンド予測を発表しました。SNS上でバズったレシピや検索急上昇キーワードから、消費者の食に対する関心がどこに向かっているのかが読み取れる注目のデータです。
出典: コマースピック(2026年6月19日)
食トレンドデータをEC商品企画に活かす
食品ECを手がける事業者にとって、消費者トレンドの変化は商品ラインナップや販促施策の方向性を左右する重要な指標です。たとえば、トレンドに合致した商品を季節ギフトセットに組み込んだり、レシピ動画と連動したSNSキャンペーンを展開するなど、データに基づいた商品企画が可能になります。当社でも食品ECの発送代行を数多く担当していますが、トレンド商品は出荷数の急増が起きやすい傾向にあります。事前に倉庫スペースや梱包資材を確保しておくことで、欠品や出荷遅延を防ぐ備えが不可欠です。食品は温度管理や賞味期限管理が伴うため、トレンドの波に乗るだけでなく、物流面の準備を並行して進めることが成功の鍵になります。
SNSマーケティングとEC人材の最新事情
ニトリ、インフルエンサーを起用した「ニトリアンバサダー」始動 — SNS発信で商品提案を強化
ニトリが2026年6月より、影響力のあるインフルエンサーを「ニトリアンバサダー」として起用し、中長期的なSNS情報発信を行う新たな施策を開始しました。近年、SNSを中心とした情報収集が一般化する中、単発のインフルエンサー施策ではなく、ブランドとの継続的な関係構築を重視した「アンバサダー型」の取り組みが注目を集めています。
出典: MarkeZine(2026年6月18日)
中小EC事業者がアンバサダー戦略を取り入れるには
大手企業の施策と聞くと「自社には関係ない」と思われがちですが、アンバサダー戦略の本質は規模ではなく「継続的な関係性」にあります。たとえば、自社商品を日常的に使ってくれているお客様にレビュー投稿を依頼したり、マイクロインフルエンサー(フォロワー1,000〜10,000人程度)と長期的なパートナーシップを結ぶアプローチは、中小EC事業者でも十分に実践可能です。当社でも荷主様のSNS施策に合わせて同梱物(サンクスカードやレビュー依頼チラシ)のカスタマイズ対応を行っており、物流の現場からマーケティング施策を支援する取り組みを進めています。
2026年アパレルEC担当のリアルな給与事情 — 平均年収・月給を独自データから発表
ファッション・アパレル業界に特化した求人サイト「READY TO FASHION」が、掲載求人データをもとにアパレルECの平均年収を算出しました。EC担当の平均年収は約393万円、月給は約33万円というデータが公開されています。「自社EC運営」と「ECモール運営」で年収に差が見られるほか、高年収求人にはデータ分析やCRM戦略などの上流スキルが求められる傾向があります。
出典: FASHIONSNAP(2026年6月20日)
EC人材の確保と育成はEC成長の生命線
EC事業の成長に伴い、優秀なEC人材の獲得競争は年々激化しています。特に注目すべきは、高年収帯の求人で以下のようなテクニカルスキルが重視されている点です。
- データ分析・BIツールの活用
- CRM設計・顧客セグメンテーション
- API連携・システム間データ統合
EC事業者が物流面のオペレーションを3PLに委託することで、社内のEC担当者はこうした付加価値の高い業務に集中できるようになります。人材リソースの最適配置という観点から、アウトソーシングの活用を戦略的に検討することが、EC事業全体の底上げにつながると考えています。
オンライン接客と次世代コマースの動向
チャネルトークがジュエリーブランド「4℃」公式ECサイトに導入 — 実店舗同等の接客体験をオンラインで実現へ
世界23万社以上が利用するAIエージェント「チャネルトーク」が、ジュエリーブランド「4℃」の公式オンラインショップに導入されました。ジュエリーという高単価商品の購入において、実店舗と同等の「接客体験」をオンライン上で再現する取り組みとして注目されています。サイズ相談やギフト提案など、購入前の不安を解消するコミュニケーションが購買転換率の向上につながることが期待されています。
出典: コマースピック(2026年6月19日)
高単価ECでの接客品質が物流にも影響する
高単価商品を扱うECにおいて、オンライン接客の充実は「注文前の離脱防止」だけでなく、「出荷品質への期待値向上」にも直結します。当社でもジュエリーやブランド品の発送代行を担当していますが、ギフトラッピングの丁寧さや梱包の安全性は、オンライン接客で築いたブランド体験の延長線上にあります。チャットで「ギフト用にお願いします」と相談されたお客様が期待するのは、開封した瞬間の感動です。オンライン接客ツールの導入を検討する際は、フルフィルメント側の品質も同時に見直すことをおすすめします。
Adyenがエージェンティックコマース向けAPIスイート「Adyen Agentic」を発表
大手決済プラットフォームのAdyenが、会話型AIプラットフォームを介した商品・サービス販売を実現するモジュール型APIスイート「Adyen Agentic」の提供を開始しました。エージェンティックコマースとは、AIエージェントがユーザーとの対話を通じて商品提案から決済までを一気通貫で行う新しい購買体験のことです。今後、EC事業者にとっては「Webサイトに訪問してもらう」だけでなく、「AIエージェント経由で購入してもらう」チャネル設計が重要になっていきます。
出典: コマースピック(2026年6月19日)
エージェンティックコマースが物流に与える影響
エージェンティックコマースが普及すると、注文データの形式やチャネルが多様化します。APIを介した自動発注が増えることで、従来のEC管理画面からの手動オペレーションでは追いつかなくなる可能性があります。当社でもAPI連携による受注データの自動取り込みを拡充しており、新しい販売チャネルが増えても出荷オペレーションをシームレスに接続できる体制を整えています。EC事業者としては、カートシステムやOMSがエージェンティックコマースのAPIに対応しているかどうかを、2026年後半の重要なチェックポイントとして意識しておくべきです。
2026年6月21日のまとめ
食トレンドデータを活用して商品企画と在庫計画を連動させる
デリッシュキッチンが発表した食トレンドランキングのような消費者データは、食品ECの商品企画だけでなく在庫計画にも直結します。トレンド商品は受注急増のリスクが高いため、3PLパートナーと連携して倉庫スペースや梱包資材を事前に確保し、出荷遅延を防ぐ体制を整えておきましょう。
SNS施策は「単発」から「継続的パートナーシップ」へ移行する
ニトリのアンバサダー施策に見られるように、インフルエンサーマーケティングは「単発PR投稿」から「ブランドとの中長期的な関係構築」にシフトしています。中小EC事業者でも、既存顧客やマイクロインフルエンサーとの継続的な関係づくりから始められます。同梱物や梱包のカスタマイズも含めて、物流パートナーと一緒にブランド体験を設計しましょう。
新しい販売チャネル(AIエージェント)への対応準備を始める
Adyen Agenticの登場に代表されるように、2026年後半はAIエージェント経由の購買体験が本格化する兆しがあります。自社のカートシステムやOMSが外部APIとの連携に対応しているか、今のうちに確認しておくことをおすすめします。

